怖すぎた「リカ」五十嵐貴久

この女、怖すぎる
最恐のストーカー誕生！

「リカ」概要

著者：五十嵐貴久
出版社に入社し、働きながら小説を書き始める。『リカ』で第18回サントリーミステリー大賞を受賞し、翌年に小説家デビュー。

自称28歳の純愛モンスター

主人公は元看護士の雨宮リカ。

自称28歳だが本当の年齢は分からない。

平凡な会社員の本間隆雄は、友達と遊び半分で出会い系サイトに登録し、ネットでリカと知り合う。

軽い気持ちでリカと会うのだが、リカの行動は次第に常軌を逸していき恐怖を感じるようになる本間は、何とかしてリカから逃れようと手を尽くすが・・・。

登場人物

雨宮リカ

元看護士
背が高く痩せているが顔立ちは美人。自称28歳。

本間隆雄

42歳のサラリーマン
東洋印刷社に勤務していて、妻と娘の3人暮らし。

本間葉子

専業主婦で本間の妻。一人娘は亜矢。
スタイルが良く少し幼稚さの残る顔立ち。夫との関係は良好。

坂井政司

40歳。本間の大学の後輩
気さくなお調子者で本間に出会い系サイトをすすめる

原田信也

本間の大学時代の友人
元警察官で現在は探偵事務所所長をやっている。本間に頼まれて協力する。

菅原忠司

警視庁強行犯一係に所属している警視庁警部補

大矢昌史

優秀な外科医
本間の前は大矢がリカのターゲットだった。

テーマや要素

「リカ」は以下のような要素が含まれています。

• 平凡な男性
• 得体のしれない女性
• 女性によるストーキング行為
• 徐々にエスカレートしていく異常行動
• 逃げられない恐怖

このような要素が気になる方におススメの小説です。

平凡な男性のほんの出来心がトンデモナイ事態になっていきます。

本間という男性

割とどこにでもいそうな男性です。

一見、家族思いのお父さんです。

家でも奥さんに優しく、そしてちゃんと奥さんの事もそれなりに愛していて、もちろん娘の事はとても可愛がっています。

ただ、友人に誘われてあわよくば的な感じでネットの出会い系サイトにアクセスして、手軽に女性と遊び始めます。

しかも、友人から教わったとおり、真実にちょっと嘘を混ぜる。

プロフィールの年齢を少し若くしたり、本名を微妙に変えたり。

始めは友人にいちいち教わっていたのですが、徐々に慣れてきてメールのやりとりにも心理作戦とか導入しています。

そして、外でちょこっと遊んでも、家庭を壊す気は全くないという。世にいる多くの男性ですね。

リカという女性

最初の頃は非常に物分かりの良い女性を演じます。

美人で優しく物分かりが良くて、不倫でもいいと言ってくれる。

男性にとっては最高に都合のいい女性ではないでしょうか。

ただ、本人は演じてるつもりではなく、その時は本当にそう思っていたのかもしれません。

「奥さんや子供がいても平気。家庭を大事にして」みたいな事を言います。

遊ぶのにぴったりですよね。

この小説はシリーズ化されてるのですが、私はこれしか読んでいないので、リカの背景が全く分からないのがより一層怖いです。

元看護婦というのは本当らしいけど、それ以外情報が全くない。

現在の職業も、年齢も、家族構成も、友人関係も全く出てこないのが想像を掻き立てられて怖さが増します。

最初の異常さ

本間はリカと会えることを楽しみに少し浮かれていましたが、徐々にこの女はまともではないと気づき始めます。

最初に気付いたのは、の講習会に参加していた時に午前中だけでリカからの留守番電話が12件！

本間もドキッとしますが、たまたま連絡が取れなくてパニックになったのだろうと好意的に取ります。

いやいや、立て続けの留守電なんて5件でも怖いですよ。ここから徐々にエスカレートしていく事になります。

リカの不思議

とにかく怪力で不死身。こんな無敵な女性いるんですか？怖い～！！

走るのが早い。これはドラマのシーンでもありましたが、タクシーで逃げる本間を延々と追いかけます。

タクシーの運転手さんがビビるくらい。

このシーンではドラマでも異常さが突出していてすごかったです。

本間を四六時中というくらい見張ってストーカー行為をするのですが、一体どうやって暮らしてるの？？

私が感じた3つの不思議でした。

「リカ」を読んだ感想

読書後に真っ先に思ったのは、リカみたいな人間とは絶対に関わり合いたくない！

本間隆雄は確かにちょっとセコくてゲスい人間です。

軽く痛い目に遭うくらいなら浮気なんかしてるからだよと、せせら笑う事も出来ますがリカは別です。

夫の浮気に悩んでいる世の中の奥さんは、この小説を旦那さんに読ませたらいいんじゃないでしょうか。

シリーズ化されているけれど、シリーズ全て読めばリカの全容が分かるんでしょうか？

どのような環境で育ったらこのような人間になるのかちょっと気になります。

もはや人間と思えないのですが・・・。

ラストの衝撃は本当に凄すぎました。

ドラマ・映画化

2019年にドラマ化、2021年に映画化されています。

主人公は高岡早紀、本間役は大谷亮平。

ドラマではラスト部分は少しだけソフトになってました。そりゃあのラストは放送出来ないだろうなと・・・。

ただリカの超人的な走りは再現されてました。

映画の方も観ましたが、ネタバレになってしまうのでアレですが・・・。

評価が低いのも納得しました。

ストーリーはそんなに変ではないのですが、リカが妙な動きをしたり、演歌みたいな音楽が掛かったり・・・なんだこれは。

もし興味があるのなら一度見てみてください。

ざっくり三行あらすじ

ネタバレ注意です