自分が楽に生きられる場所を求めたからといって、後ろめたく思う必要はありませんよ。
「西の魔女が死んだ」概要
著者:梨本香歩
中学生のまいは不登校となってしまい、心配した両親からしばらくの間だけおばあちゃんの家に預けられる。
どうやらおばあちゃんは魔女らしい。
慣れない田舎暮らしに戸惑いながらもまいはここの生活を気に入る。
しかし唯一、近所のゲンジというおじいさんの事を嫌悪して、そのことで大好きなおばあちゃんと気まずくなってしまう。
そしてまいがおばあちゃんの家を離れる日がやってきてしまう。
登場人物
まい
中学生で喘息持ち。父母と3人暮らし。
不登校となり祖母の家に預けられる。
西の魔女
まいの祖母でイギリス人。
英語の教師として赴任してきて日本人と結婚する。祖父は中学の理科の教師。
ゲンジ
祖母の近所に住んでいるおじいさん
時々、祖母の為に庭の手入れや買い物をしてくれる
ショウコ
中学生でまいの友人
母親は元婦警
藤沢くん
まいとショウコのクラスメイト
兄はサッカーをやっている
テーマや要素
「西の魔女が死んだ」は以下のような要素が含まれています。
- 田舎暮らし
- ハーブを育てる
- 不登校中学生
- 転校
- 血縁者の死
- 家族愛
- 中学生活
このような要素が気になる方におススメの小説です。
「西の魔女が死んだ」ポイント
おばあちゃんと二人の田舎暮らし
ゆったりと時間が流れる雰囲気が優しい
★全体的に穏やかで優しい雰囲気
物語はいきなり西の魔女こと、まいのおばあちゃんが亡くなる所から始まります。
そして過去に遡り、まいがおばあちゃんの家に預けられる場面へと移る。
書かれていない部分がたくさんあるのですが、この流れがとても自然でスーッと話に入っていけます。
そしてまいの田舎暮らしと魔女修行が始まるのです。
田舎での暮らしが生き生きと描かれています。
特にサンドイッチの作り方やミントティーの作り方など、大雑把なんですがすごく美味しそうです。
森の中や雨の描写なども繊細で情景が目に浮かぶようで素敵でした。
次の日も朝から雨だった。内も外も静かだった。部屋の中にいると、腐葉土に落ちて浸み入っていく雨の音が聞こえるようだった。
小説「西の魔女が死んだ」より
そしてそれが心にも浸み入って、まいは傷ついた小動物のようにじっとしていた。
あと、少し現実社会で疲れてしまい田舎にしばらく引き取られるというのでアルプスの少女ハイジみたいって少しだけ思いました。
銀龍草という植物はこの本を読んで初めて知りました。
★まいの魔女修行
おばあちゃんは本当に魔女だったのかどうかは分かりません。
映画に出てくるような箒で空を飛んだりするわけでも、呪文を唱えてカエルを人間に変身させるわけでもありません。
おばあちゃんの言う魔女修行とは魂を成長させることだからです。
そのためには
- 早寝早起で規則正しい生活をする事
- 自分の事は自分で決める事
- 自分で決めた事を最後までやり遂げる事
- 直感を大事にしても、それに捕らわれない事
- 魂を成長させる事
これらの為におばあちゃんはまいに美味しい食事を提供し、まい自身も参加できるように家事エクササイズを取り入れます。
ここでサンドイッチやハーブティーが登場!
徐々にまいはこの田舎暮らしが気に入り、ずっとここにいてもいいかもと思うようになります。
★まいへの試練
まいはおばあちゃんの近所に暮らすゲンジさんというおじいさんが苦手でした。
口が悪く、不愛想で、遠慮なくズカズカとやってくる様子はまいの神経を逆なでします。
まいは思わず目を背けた。そしてその目を消毒してしまいたかった。
小説「西の魔女が死んだ」より
ゲンジさんに会った時のまいの描写です。
どれだけゲンジさんを嫌っているかが表されています。
しかし、おばあちゃんはまいに魔女修行として思い込みに捕らわれない事を説きます。
まいとおばあちゃんの間が妙な気まずい空気になってしまうのです。
嫌いな人を好きになる事は難しいですが、まいはさらに不確かな事をゲンジさんのせいにして決めつけてしまったのでした。
そこへ第二の試練がやってきます。
まいに転校の話が来るのでした。
まいはこの田舎暮らしが気に入っていたのですが、おばあちゃんと気まずい雰囲気のまま転校の話を承諾。
この時のまいの気持ちは曖昧にしか描かれておらず、後のまいも何故あの時に転校を選んだのかと不思議がっています。
この辺りは読者の判断にゆだねられているようです。
「西の魔女が死んだ」を読んだ感想
前置きでおばあちゃんの死の知らせがあり、前半がおばあちゃんとの田舎暮らしの部分、後半は転校先の中学生活になっています。
後半は本当にまいはごく普通のどこにでもいそうな中学生となっています。
おばあちゃんの魔女修行の成果が発揮されているといっていいかもしれません。
おばあちゃんと別れてからまいは2年間そうやって暮らしてました。
その間におばあちゃんには会っていません。
そして突然亡くなった知らせを聞いたのでした。
まいの父親は人間は死んだら何もないんだという主張をしていますが、おばあちゃんは身体からの脱出だと言います。
死んで終わりというより、身体は生まれてから死ぬまでの魂の仮の居場所で、死んだらそこから脱出して、さらに先に進むという考えの方が素敵です。
実際は死なないと分かりませんが、そう思って生きたいですね。
映画化
2008年に映画化されています。
西の魔女役がサチ・パーカーさん、まい役が高橋真悠さん。
どちらも知らない役者さんですが、予告編見る限りは良い感じでした。
ゲンジ役が木村祐一さんは結構ピッタリな気が・・・(笑)
Amazonプライムで無料配信してる時もあるようなので要チェックです。
サクッと三行ネタバレ
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不登校だったまいは転校する
2年後におばあちゃんは亡くなる
まいは魔女修行を発揮して新しい転校先では友達と普通の学生生活を送っている
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