読後、きっとこのタイトルに涙する
「君の膵臓をたべたい」概要
【著者:住野よる】
2016年の本屋大賞第2位
ある日、主人公の僕は病院で一冊の文庫本を拾う。
本と思っていたそれは人気者のクラスメイト山内桜良の闘病日記だった。
そこには膵臓が悪くもうすぐ死ぬと書かれていました。
秘密を共有した二人は急速に距離を縮めていき、それまで人と関わる事を避けていた僕は桜良との出会いで変わっていく。
テーマや要素
「君の膵臓をたべたい」には下記のような要素が含まれています。
- 高校生の男女
- 病気で余命が少ない
- 陰キャの男子生徒と陽キャの女子生徒
- クラスメイト
- 泣ける
偶然病院で桜良の病気を知ってしまう僕は桜良と徐々に関わっていくことになる。
登場人物
僕
小説好きの高校生。名前は某小説家に似ている
図書委員をやっている。クラスでは地味で目立たない存在
山内桜良
僕のクラスメイト
膵臓が悪く余命が少ない。クラスでは陽キャで人気者
キョウコ
桜良の友人
タカヒロ
クラスの学級委員で桜良の元カレ
ヒロインは余命少ないのだが悲壮感があまりない
余命いくばくもないヒロインとなると悲壮感漂う感じですがこの小説はあまりそういう部分はないです。
とにかく病気のヒロインが明るく陽気なのと、主人公の僕がクールで淡々としています。
「ねえ、君はさ」「うん?どうしたの?」「本当に死ぬの?」
「君の膵臓をたべたい」より
さらっと言ってるけど、何気にすごいですよね。
また僕自身も桜良がもうすぐこの世からいなくなることを度々忘れて(信じられなくて)なってしまいます。
ろくな大人にならないだろうな、となんの疑いもなく思ったけれど、そういえば大人にならないんだったと思いだした。
「君の膵臓をたべたい」より
本当にこの子死ぬの?って思ってしまうくらい明るいんです。
自分が死に直面したときにこんな風にふるまえるだろうか?とつい考えさせれれてしまいました。
対照的な二人
主人公の僕は陰キャ。
名前は最後まで出てこないので一人称の僕。
桜良やクラスメイトから呼ばれるときは【地味なクラスメイト君】【秘密を知ってるクラスメイト君】【仲良し君】などと呼ばれています。
要するにいてもいなくても同じようなタイプの地味で目立たない男の子。
そしてヒロインの桜良はクラスの人気者で、桜良はいつも友達に囲まれているようなタイプです。
とても対照的な二人が出会って、僕が少しづつ変化していくのが面白いです。
まず僕の性格を表しているのが
「まかせるよ」まかせる、というのはなんて僕に似合う言葉だろう
僕は現実の世界よりも小説の中の方が楽しいって信じてるから
「これまで何人が君に傷つけられてきたんだろうね」交友関係の広い彼女のことだから、その数は計り知れないだろう。まったく、罪深い人間だ。その点交友関係がない僕は、人を傷つけるようなことはしない。どちらが人として正しいのかは、判断が分かれると思う。
僕はクラスメイトの顔を全ては覚えていない。人と関わることのない僕に、人の顔を憶える能力は必要ないので、退化してしまったんだろう。
「君の膵臓をたべたい」より
このあたり、陰キャの人ならわかると思います。
本当に人の顔とか全く覚えられないんですよ。本当にマジで。
私も自分の事書かれているみたいな気持ちになりました。よって僕にすごく感情移入してしまった。
どちらがいいかは分からないけれど、人生で得するのは完ぺきに桜良の性格の方でしょうね。
僕の心境の変化
人と関わらず生きて行きたいと言っていた主人公の僕ですが、桜良と出会った事で少しずつ変化していきます。
これが人付き合いだと彼女が言うならば、僕はやはり誰ともかかわらずに生きていきたい。
あー、楽しい。彼女がいるからだ。
僕は人とのかかわりを喜んでいた。生まれて初めてだった。誰かと一緒にいて、一人になりたいと一度も思わなかったのは。
「君の膵臓をたべたい」より
すごい変化です。
あんなに人との関わりを拒否していた僕が人といることを楽しんでいます。
この変化もすごく丁寧に描かれていて引き込まれました。
やはり人との出会いで人は変わっていくものなんでしょうか。
これには僕の素直で純粋な性格が大きい気がします。
陽気な彼女と陰気な自分。
彼女に劣等感を感じるのではなく、多くの事を気づかされると素直に受け止めているのが僕をここまで変化させたのかもしれません。
好きなシーン
あまり書くとネタバレになってしまうので
- いきなりの一泊の外泊
- 二人のおみくじ対決
- 眠っている桜良を起こすシーン
曲でいうとサビみたいなメインのシーンも好きなんですがこのあたりのシーンも可愛くて好きでした。
おみくじを引くところはちょっと切なかったけど。
眠っている桜良を触れなくて輪ゴムでパチンってやって起こすの僕らしくて良かったです。
映画化
邦画見るならU-NEXT2016年に本屋大賞を受賞して2017年に浜辺美波と北村匠海のW主演で映画化されています。
アニメ版は見ていませんが、実写版はラストがちょっと改変されています。
でもとっても良い映画だったので映画も良ければご覧になってみてください。
「君の膵臓をたべたい」の感想
すごく読みやすい小説です。
泣きました。とくにラスト付近からの展開に。
先に映画を観てしまったので、脳内で桜良が浜辺美波に変換されてしまい、顔を浮かべながら読んでしまいました。
特に僕が僕自身を分析している箇所が多く、その度に「分かる~」と同調してしまいました。
読み終わったころには僕のファンになってしまいました。
小説好きなところやポテチはコンソメが好きなところも一緒だった。
本屋大賞納得です!