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邦画「紙の月」(2014)感想レビュー

最も美しい横領犯。

紙の月
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  • 2014年公開
  • ヒューマンドラマ
  • 吉田大八監督
  • 早船歌江子脚本、角田光代原作
  • キャスト:宮沢りえ、池松壮亮

 

映画『紙の月』概要

しき

主人公はごくごく普通の主婦です

「わかば銀行」で契約社員として真面目に働いていた主人公の梅澤梨花。

顧客からの信頼も高く、上司からも高評価を得ている。

ある日、ひょんなことから若い大学生の平林光太と出会い関係を持ってしまう。

学費を払うために借金をしている光太に金を工面する梨花。そこから徐々に銀行の金に手を付けていくのだった。

登場人物

梅澤梨花(宮沢りえ)

「わかば銀行」の契約社員。
外回りを担当している。夫と二人暮らしで子供はいない

梅澤正文(田辺誠一)

梨花の夫。
商社勤務で上海に転勤となる。

平林光太(池松壮亮)

大学生。
祖父から援助してもらえず学費を借金で何とかしている。

平林孝三(石橋蓮司)

梨花の大口顧客で光太の祖父。
金持ちだが孫に援助はしない。

隅より子(小林聡美)

「わかば銀行」の古株社員。
仕事はできるのだが、古参なので周りからは少々煙たがられている。

相川恵子(大島優子)

「わかば銀行」の若手社員。
仕事は適当だがちゃっかりした性格。

見どころ

主演の宮沢りえさんの演技力が光ってます。

普通の主婦が犯罪に手を染める過程

しき

近所の人の証言でたまにある「なんであの人が!」ってタイプ

梅澤梨花はごく普通の主婦です。

むしろ夫はそこそこのエリートで優しく、子供はいないものの暮らしぶりも良い。

はたから見ればむしろ恵まれた環境にします。

しかし、ふとしたキッカケが重なり梨花は銀行のお金に手をつけてしまいます。

それがどんどんエスカレートしていく過程が見ていて怖いです。

梨花の周辺の人間

とにかく男性がだらしなく、夫含め梨花に無関心で全くうわべだけの関係なんですね。

それに比べて同じ行員の隅さんと相川さんの二人は梨花の微妙な変化を逃さず忠告をします。

相川さんは今時のちゃっかりした女性で仕事のミスも多いという設定でしたが、なかなか鋭くて面白いキャラでした。

この対比が個人的にはとても面白かったです。

真面目さゆえの犯行

恐らく多くの人間は梨花にはなりません。

でも梨花は一線を越えてしまいました。

悪事がバレた後に隅さんと二人で会話をするのですが、その内容が実はどちらも徹夜もしたことないほどの型にはまった人間だという事でした。

梨花と隅さんは似た部分があります。どこで違ってしまったのかそれを自分なりに探っていく見方も面白いと思います。

梨花の性格は歪んでますよね。

犯罪を犯して自己を犠牲にし他人をその瞬間喜ばせていますが、結局は自己満足に快感を得ている自分勝手な人という印象です。

男性の登場人物がろくでもない

どの人物もひどかったですね。

いわゆるクズってやつです。

ちわ

まずは梨花の夫。梨花がお給料で時計をプレゼントするのですが、あの反応はないでしょう。失礼極まりない。

梨花ががっかりしていますが、当たり前ですよ。

そして銀行の上司。うわべだけで調子のよい事ばかり言ってますが全く使えない。

結局梨花の不正を発見できたのは隅さんのお陰でした。

大学生の光太はもはやクズになってしまいました。元々クズだったのでしょうが、拍車をかけたのは梨花のような気がします。

光太を甘やかさない祖父の孝三が正しかったのでしょうね

『紙の月』を見終わった感想

後味は悪かったです。

原田知世主演のドラマの方も観ました。個人的な好みになるけどドラマの方が良かった。

ドラマの方は本当に何で?という感じを強く持ちました。

映画の方は梨花があまりにも陰気臭くてそういうことしそうに見えました。

女優はどの人も良かったですね。

小林聡美が上手なのはわかっていたけれど、大島優子ハマり役じゃないですか?

ちゃっかりいている若手社員ってピッタリです。梨花に忠告するところとか本当にうまかった。

一番好きなシーンは梨花が逃げる時に隅さんの方を振り返って「一緒に来ますか?」って言うシーン。

あの時の二人の表情がたまらない。隅さん心が揺れたんじゃないでしょうか。

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